[真実の自分]2011.10.17
ハンナ・アーレントの『人間の条件』の中で、もっとも根底にある概念的定義は、[真実の自分]と[正しい言葉]と[人間力の大きさ(上・下)]において行なった考察ではないだろうか、と思う。
[真実の自分]とは、乱暴に言い切れば、個人のアイデンティティがどのように作られるのかを考察している。
アーレントは、背景として古代ギリシアのポリス市民を例にして説明しているのだが、その具体的なイメージは、ポリス市民よりも圧倒的に多く存在した奴隷との対比を意識的に行なうことで見えてくると思う。ポリス市民は、自由と平等の象徴であるとともに、一方で、暴力と支配の象徴になっている。ポリス市民は主体的な存在であり、奴隷は客体的な存在であるのだが、この時代の人口動態からすると、奴隷の構成比率が圧倒的に大きいことに注意が必要である。つまり、ポリス市民は、極めて特権的な立場にある人であり、このような社会の構成比率は、現代においてもあまり変化してないのではないだろうか。
[正しい言葉]とは、[真実の自分]との関係において、「卵と鶏」のような関係に思える。漠然としたアイデンティティの持ち主が、暴力に頼らない方法で、他人を説得することの難しさを考察している。また、[正しい言葉]で[真実の自分]を伝えることができれば、僕たちは、家族という絆を一つの成功事例として、地域や国家、あるいは、地球規模でのリアリティについて話し始めることができるかもしれない。
[人間の大きさ(上・下)]では、人間関係のさまざまな活動の中で生じる成功と失敗についての備えであるし、向き合った人と人が対話を続けることの大切さを考察している。
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[自由意志]2011.9.7
「意志」は「自由」という概念ととても密接に結びついていることからも、アーレントのテーマの中でもとても重要な概念です。
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[強い行為と弱い行為者]2011.8.24
このブログを読む前には、[プラトン的分離]を読んでおかないと分からないかもしれないですね。現代社会で働く人にとって、とても関わりの深い内容になっていると思っています。「行為者の特徴」は、大切な内容になっていると思っています。
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[プラトン的分離]2011.8.19
アーレントが行ったプラトンの分析の中で、もっとも重要なものです。プラトンの名前をご存知の方が多いからかもしれませんが、ブログの統計を見てもアクセス数の多いブログです。このブログを読んでいるだけで、ほかのブログも分かりやすくなるはずです。
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[意味の探求によって生まれるもの]2011.8.15
古代哲学では、「真理」がとても重要なものとして位置づけられていますが、アーレントは、「意味の探求」によって「真理」ではなく「認識」が生まれるとしています。あくまでも僕個人の感想なのですが、このブログに関連する内容を読んでから少しだけ、アーレントの考え方や文章の難解さには、どこか意図されたものがあるんじゃないか、と思うようになりました。
ちなみに、このブログは、アーレントが書いた『精神の生活』という本に書かれていることに触れています。『精神の生活』は、『思考』『意志』『判断』の3部作になる予定でしたが、『判断』が書き上げられていない状態でアーレントは亡くなってしまいました。